「高温」「ヒートショック」「耐摩耗性」「延伸速度最大6,000m/min」という厳しい環境下に耐えうる表面処理 ”ダイクロンTC”
合成繊維製造用延伸用ローラーは、非常に過酷な環境下で使用されるため、延伸ロール表面の微細突起や表面層の剥離など様々な要因により、繊維の毛羽立ちや糸切れなどが発生し、歩留まりが悪化していた。 当社と東レ株式会社殿の共同特許である表面処理方法”ダイクロンTC”を用いることによって諸問題が解決され、
歩留まりの向上
さらにはメンテナンス期間の延長
などが実現された。
・合成繊維(ポリエステル繊維やポリアミド繊維)の製造環境は、
① 200℃~300℃に原材料を熱しながら
② 高い張力(3倍~6.5倍)で延伸し、
③ 延伸速度が2,000~6,000m/min
④ 200℃~300℃に熱したものを150℃程度まで冷ます(ヒートショックが加わる)
といった、非常に厳しい環境下で使用されるため、高い密着性・滑り性・耐摩耗性が要求されている。
・従来の延伸用ロールの表面処理には「硬質クロムめっき」や「酸化クロム溶射」「クロム-クロム炭化物複合めっき」などが施されていた。
・しかし上記のような厳しい環境下で使用されるため、「表面処理層の剥離」や、「膜厚不均一」「汚れの付着」「表面上の微細な突起」「表面粗さ」などが課題となっていた。
・このような現象が発生すると、最悪「糸切れ」に至ってしまう。
・以上のような問題を解決するために、合成繊維に対する「低摩擦性」「長期間の耐摩耗性」「表面上の微細突起が非常に少ない」性能を持ち合わせた、表面処理が求められていた。
滑り性と絶大な耐摩耗性を兼ね備えた延伸用ロールにダイクロンTCを施すことにより、諸問題が解決しました!
・ダイクロンTCは「ブラストロン」の技術が活かされています。
・常温における皮膜硬さはHv950~1,300程度と非常に高硬度です。
・表面の算術平均粗さRa=0.3~5.0μmに設定しました。
表面粗さについては、お客様が使用される相手材との相性により、
表面粗さを変化させ、適切な摩擦抵抗を得ます。
・表面上の微細突起物はレプリカフィルムにより観測することができます。
微細突起は10cm2あたり、微細突起は10個以内に押さえます。
微細突起が10個を超えると、搬送繊維に毛羽立ちや糸切れが多くなることが報告されています。
・均一な膜厚を皮膜させるために、お客様のお品物一点一点に対して、特別な治具(電極)を作成します。
・表面にシリコン処理を施すことにより、さらなる離型性や防汚性が期待できます。
【特許】第4064899号-フィルム基材の加工機械に設置するローラーの製造方法