形状が複雑で、切削や鍛造では作り出せない(もしくは加工コストが高額になる)製品に対して、鋳造が利用されます。鋳造用に適する鉄系材料として鋳鉄が利用されます。
鋳鉄は炭素(C)を2.0~6.67%含むFe-C合金です。また重要な添加元素としてはケイ素(Si)が添加されます。鋳鉄は溶融時からの冷却温度により「白鋳鉄」「ねずみ鋳鉄(FC材)」「まだら鋳鉄」などと組織に違いが出ます。
ねずみ鋳鉄(普通鋳鉄)は、機械的強度がそれほど強くなく(FC200の場合、引張強さが20MPa以上のもの)、機械主要部品として使われることは少ないですが、加工性の良さなどから、多方面で利用されています。
鋳鉄にダイクロン処理を施すことにより得られるメリットは、
特に複雑な形状をしているポンプのケーシング内側は、流体による摩耗(エロージョン摩耗)やスラリー(ごみ・ちり・粒子などが混じった混濁液)による摩耗から、ケーシング内を保護します。もちろん、通常形態の摩耗にも非常に強い特性を持った表面処理です。
鉄系材料のため、耐食性(防錆性)は最大の課題です。3%食塩水中において硬質クロムメッキとダイクロン処理を比較したところ、ダイクロン処理は浸食時間が約2倍以上と、耐食性を飛躍的に向上させることができます。
弊社において最も受入実績の多い鋳鉄はねずみ鋳鉄(FC200等)です。FC200以外の規格の鋳鉄もめっき処理可能な場合がございますので、お問い合わせください。 ※ねずみ鋳鉄はJISによる化学成分量の規定がないため、機械的性質(引張強さ・硬度等)によって種別されます。よって、鋳鉄には不純物が多く、その不純物によって電導性が悪いために、めっきが処理出来ない場合もございます。