現在では主流になったディスクブレーキですが、エアクラッチ/ブレーキにおけるドラム式ブレーキは、現在でも使用されています。製鉄、船舶、製紙、ゴムなど、極限まで耐久性を要求されるプラントや機械にでは、現役です。その理由の一つは、構造上自己倍力作用があり、緊急停止の場合には、その機能が勝っている事もあるからです。勿論、ディスクブレーキに比べると、再稼働と稼働を頻繁に繰り返す場合には、向かないことや、構造上、水などが浸入した場合に、その力が低下するなど、問題点も多いともいえます。
・ご存じのようにディスクブレーキは構造上キャリパーとディスクであるローターが露出しており、空冷によって、温度が上がることは容易であり、水が付着しても遠心力ではじき飛ばしてしまう為、安定性が高いとも言えます。しかし、ブレーキパットとの接触面積を上げることが非常に難しく、大型な動力を制動する事は難しいという欠点があります。そこで、現在でも、工業分野ではドラム方ブレーキが使用する場合があります。
上記のように、非常に大きな機械で緊急停止をする場合、ドラム側への負担が大きく、数回の制動で傷が入ってしまう場合がありました。また、ドラム側の表面粗さによっては、期待していた制動力が得られず、危険が伴う場合があり、前出の状況と相まって、そのメンテナンス時期を常時監視する必要がありました。
そこで、ダイクロン処理を行い、耐摩耗性を向上させると共に、表面粗さを調整し、制動力を強化する方策が考え出され、現在に至っています。ダイクロン処理は100μmという厚さを標準とし、塑性変形も起りづらい環境をつくり、表面粗さに至っては、Rmax値で0.8μm以下というとても特殊な仕様を推奨しています。勿論、緊急事態での制動が基本ですので、頻繁な取り替えの必要はないものの、安心安全のラインの構築に実績を出しています。