去年の年末から、今年の初めに掛けまして、余り読書が進みませんでした。
それは、この本を理解するまでに時間が掛かったからです。
21世紀の資本 単行本 – 2014/12/9
トマ・ピケティ (著), 山形浩生 (翻訳), 守岡桜 (翻訳), 森本正史 (翻訳)
登録情報
単行本: 728ページ
出版社: みすず書房 (2014/12/9)
言語: 日本語
ISBN-10: 4622078767
ISBN-13: 978-4622078760
発売日: 2014/12/9
です。
もう多くの皆様はご存じの通り、去年流行った経済学書です。
概要は
r(資本の収益率)>g(経済成長率)
という非常に単純な話なのですが、その素晴らしさは、彼が米国でMITで教鞭を執り、約束されていた地位を投げ出して、
故郷であるフランスに戻り、現在の資本主義のあり方について警鐘を鳴らすという。その生き様なのではないかと思いました。本文でも「資本論」を余り勉強していないと彼は語っていますが、明らかに、意識していると思います。
端的に言うと、彼はたくさん儲けることに関しては問題視していないのですが、それが引き継がれることを問題視しています。その為に、資本に税金を国際的に3%でも取った方が良いという話を出してきます。それを「夢見話」と嘲笑する向きが多いわけですが、それは僕は違うと思います「資本論」を読んだのちに国際的にイデオロギーに変化していくわけで、彼の本もそのような評価を受けても十分だとおもいます。僕は「資本論」は一度しか読みませんでしたが、「21世紀の資本」は、3回読み直しました。(なので、約半年間、本が進みませんでしたが)その価値は十分すぎる程にあるとお思いますし、かれの論に心から賛成します。
「おいおい、おまえも3代目で、資産を受け継いでいる人だろ?何言っているの?」と、いう人は、この本を読んだ事がない人です。先ほども申しましたように、儲けることの是非を彼は言っていません。r>gなので、資産を初めから持っている人が受け継がれると、資本の集中が起ると言うことを問題視しているわけです。つまり、毎年利益を出すのにピーピー言っているような中小企業やアントレプレナーの人に対して言及しているわけではないのです。日本的にいうと資産を持っている人やその予備軍(都市近郊の農家等)に、資本税を掛ける必要があると言っているわけです。
「懲罰的な所得税や法人税を取っていて、まだそんな税金を取ったらタックスヘブンにいってしまうのではないか?」という指摘があるのですが、その通りで、歴史的には、政府なんてモノは再分配が上手くいったこともなく、トリクルダウンなんてモノも起らない。戦後の一時期だけ、そういったことが起る。それは、多くの資本家がその資本の多くを失ってしまうので、ゼロベースとなり、アタラシビジネスや産業が起るからとということです。日本でもそれらを利用して上場会社の親子がオーストラリアの国民になったりしているわけですが、そういった人々が世界をおかしくしているのだと指摘しているわけです。また、政府も虎視眈々と、チャラにするチャンスを狙っています。それは、この国も含まれると思います。
と、長く書いて参りましたが、非常に良著であるのですが、僕の頭脳だと3回読んでも4分の一程度しか理解出来ていないかも知れません。が、素晴らしい本だと思います。
是非!
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