ずいぶん前の話になるのですが、とある地方都市で大酒を飲んで帰路に就く途中に、寒い中、ギターを片手に「変な歌」を歌っている外国人女性を見かけました。
寒空の下、寒そうな恰好をして、その上、外国語でアジアンな旋律で歌を歌」う姿が所謂「路上ライブ」とは違いそうで、気になった次第です。
足を止めて「なんか、楽しい曲を一曲頼むよ!」と、話しかけると、全く日本語が通じなかったので、英語で少し話してチップを出しました。すると「なんて、親切なの!ありがとう!」と、明らかに母国語が英語でない発音で、一生懸命僕とコミュニケーションをとろうとしてきました。そして、この本を僕に手渡したところで、制服警官が3人ばかり彼女を囲み、職務質問が始まりましたので、僕は失礼しました。
短い会話でしたがどうやらインド系の新興宗教に帰依して、日本で布教活動を行っていること。管理者は別にいて、パスポートを現在持っていないので、帰ることはできないこと等を話していました。
最近、アジア発祥で多くの社会問題を引き起こした新興宗教が、与党と共に行動していたという報道が注目されています。「信仰の自由」と「政治と宗教の分離」は、先の大戦後、GHQの指導の下、再度「国家宗教」が力を持ちすぎないように現在の法整備がされていると理解していますが、そもそもアメリカは「宗教国家」でありますし、現在の問題としてハーバード大学のマイケル・サンデル博士がその著書
「実力も運のうち 能力主義は正義か?」
出版社 : 早川書房 (2021/4/14)
発売日 : 2021/4/14
言語 : 日本語
単行本 : 384ページ
ISBN-10 : 4152100168
ISBN-13 : 978-4152100160
で、議論されているように「現世の幸せを求める宗教」は、果たして宗教なのか?と、いう問いもございます。貧しい原因が「現世の努力が足りないからだ」という「能力主義」と呼ばれている考え方を「経済的流動性」の分析によって否定しているわけです。つまり昨今のアメリカで日曜日にテレビで「祈りが足りないから、あなた方は不幸せなのだ」と、宣う新興宗教的な宗派に対して、真っ向からデーターで否定し、「親の経済状況と相関する」という事実を論評しています。確かに、GAFAの創業者たちももまた経済的には恵まれた環境であったことは間違えないですし、ドナルドトランプ氏を押した所謂「貧しき白人」達の怒りが、プロテスタント教会の掲げる「平等意識」に裏打ちさせているとの論説で、テクノクラートたるオバマ氏達の存在が「社会の問題でなく、あなたの問題だ」と問われることによる反発と手厳しい内容となっています。
話を戻しますと、一周回って「新自由主義」を掲げていた人々は「既得権益をぶっ壊す」と、言いながら、自らが恵まれた環境に生まれ、そして、あたらしい「既得権益」を作って、糊口をしのいで生活している人たちの会社の経営陣に名を連ねていたというのは、まさに前出のアメリカの牧師たちと同じではないかと。そのように感じています。
このいただいた2冊の本は、斜め読みして捨ててしまいましたが、僕にはとても理解できない内容でした(いろんな意味で)そして、マイケル・サンデル先生の著書を読了した後に
”現在「能力主義」と評されている言葉の語源がmeritocracyであり、本当ならば、能力主義ではなく功績主義と表現されれるべき場合がある”という解説を本田由紀(東京大学大学院教育学研究科教授)にも驚きました。そもそも「能力が低いからあなたの評価が低い」と、いう意味ではないわけです。世界平和を語りながら「徳を積む」ことを求める人たちもまた、同じではないでしょうか?本人や家族にそれらを強要する人たちもまた、テクノクラートに成れなかった人々から搾取することによって、新しい権益を作っているのではないでしょうか?そんなものは、宗教とは言えないのではないかと。そんなものは保護するべきものではないのではないかと、そのように感じている次第です。
きっと、遠くの国から布教に来たあの女性もまた「自分や誰かを幸せにしたい」という思いであった筈です。その心を利用している人々に僕は、憤りを感じます。
もっと、激しい言い方をしたいのですが、この辺にしておきます。
それでは、失礼します。
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